歴史の流れを噛み砕いてみた

エンタメ要素をめいっぱい取り入れて、戦国や幕末の流れを、わかりやすく、ざっくりとお届けします。「超現代語訳戦国時代」という書籍も出版してますので、よければご覧ください。

【スレ違い、カン違い、ウソ、ケンカ。コメディでもラブストーリーでも100点】

幕末エピソード8、いきますよ。

そしておさらいいきます。

ズタボロ経済で、庶民にまで尊王攘夷広まる。
  ↓
安藤さん『公武合体』頑張る。
  ↓
家茂ちゃんと和宮さんの結婚決まる。
  ↓
尊攘派からちょー反感買う。
  ↓
うたさんの『航海遠略策』注目を集める。
  ↓
安藤さん襲われる&"あるウワサ"のせいで『公武合体』ダメになる。

"あるウワサ"の正体をお伝えするので、ちょっとだけ時計の針を戻しますね。

幕府、朝廷、長州藩で、『公武合体』がまだトレンド入りしてる頃、

薩摩「長州に先越されてる場合じゃなくね!? オレたちなりの『公武合体』見せてやる!!」

てことで、やっぱり動いた

薩摩藩

その指揮をとったのは、薩摩藩の実権を握る、藩主・島津忠義……

のパパ、

島津久光

忠義のパパ、久光……パパ光は宣言します。

パパ光「兄・斉彬の遺志を継ぐ! 兵を引き連れて上京だ!」
パパ光家臣「懐かしの"率兵上京計画"!!」
パパ光「まず朝廷さんから、『おい幕府! 改革しろ!』っていう命令を出してもらう!!」
パパ光家臣「勅命(天皇の命令)だ!」
パパ光「朝廷さんの命令で幕府が改革されれば、2つはつながり……」
パパ光家臣「『公武合体』の完成!」
パパ光「完成したのは誰のおかげだ?」
パパ光家臣「パパ光様!!」
パパ光「今から日本をリードするのは!?」
パパ光家臣「薩摩だーーーー!!!!!」

ま、クーデターです。

パパ光は自分の手で公武合体をキメ、中央の政治を引っ張っていこうと考えたわけです(野望強め。っていう説強め)。

大プロジェクトの準備を、家臣の

小松帯刀(こまつたてわき。この人も有名よ)

さんや、そばで仕えるようになった、

大久保利通

さんと頑張るパパ光。

そんな中、

大久保利通「この上京計画には、"朝廷と交渉した経験"を持つ人が必要だと思います!」
パパ光「今いるメンバーで大丈夫だろ」
大久保「西郷さんです!!」
パパ光「……聞いてるか? 今いるメンバー…」
大久保「そうです! 彼には斉彬さんの上京計画のときの実績があります! 奄美大島から呼び戻しましょう!!」
パパ光「……お前台本書いてきたんか」

大久保さんからモーレツなプッシュが入り、

西郷隆盛「島生活終わり!!!」

約3年ぶりに、西郷さん大復活

そして、復帰後すぐの西郷さんに上京計画が伝えられます。

パパ光「亡き兄の"率兵上京計画"を実行することとなった、よろしく頼む。まずは朝廷…」
西郷「やめた方がいい」
パパ光「了解やめよう…………え?」
西郷「斉彬公が上京しようとしていたときとは状況が違うし、今は公武合体が最善の策とも思えない。それに、大軍を連れて上京することによって"ヤバいこと"が起こる気がする……。
ですので、計画は中止してください」
パパ光「………………大久保ー?」
大久保「は、はい! 西郷さん何を言って…」
西郷「お話を聞いた感じでは、準備も十分じゃない。甘すぎる」
パパ光「……大久保大久保」
大久保「は!! もう行くことは決まっ…」
西郷「それに、パパ光様は薩摩じゃエラいかしんねーけど、これといった地位や役職があるわけじゃない。藩を出たら、ただの"1人の武士"だ。他の大名との付き合いもねーから、改革なんてうまくいくはずがない」
パパ光「大久保大久保大久保大久保!」
大久保「ど、どしたの西郷さぁん? パパ光様の前で緊張してんのか? そうだ、緊張だ! パパ光様! 西郷さんは緊張してます!」
西郷「するわけねーし。パパ光様は田舎者なんで、京都行こうが江戸行こうが、何にもできないでごわす」
パパ光「おいまだ来るぞおい!!  "ごわす"ってなんか当てつけか? 大久保!!!」
西郷「あんたは斉彬公に比べて人望がねーし、器が小っちゃすぎんだよ」
パパ光「おい止まんねーぞこいつ!!!!」
小松帯刀「(あ〜あ…)」

2人のムードは最高潮。

もちろん、険悪な方で(ガチでこんなこと言ったらしい西郷さん。大久保&小松がそこにいたかは知らないす)。

でもここで頑張ったのが大久保さん。

この計画に時間を費やしてるし、成功させたいから、なんっとか2人を説得し、西郷さんをプロジェクトに参加させたのでした。

でっけーモヤつきは残るものの、パパ光は、とりま西郷さんにも命令を出すわけです。

パパ光「西郷!! 薩摩以外の九州が今どんな感じか、先に行って見てこい! そのあと"下関"で、オレらの到着待ってろ!!」

この命令で九州→下関に向かう西郷さん。

そこで、

西郷「これ……激ヤバじゃん……!!!」

ウッと息呑む緊急事態に直面。

その原因こそ、"あるウワサ"の正体です……。

突然ですが、ここでプチおさらい。

パパ光は"公武合体派"です(念押しときます)。

朝廷と幕府を合体させるために、幕府を改革したい人。

幕府ありきの計画を立てた人です。

ところが……

志士1「薩摩が大軍で上京するってよ!!」
志士2「マジで! おい、薩摩が大軍で上京して、そのあと幕府に行くってよ!!」
志士3「マジで! おい、アロマが3分で芳香して、そのあとポトフ煮込むってよ!!」
志士4「マジで! おい、薩摩が大軍で上京して、そのあと幕府を倒すってよ!!」
志士全員「マジで! 薩摩が幕府を倒すだと!!? よっしゃーーーーー!!!!」

幕府倒すことになっちゃった。

尊攘派志士は薩摩上京の伝言ゲームを失敗し、ドえらいカン違いをしちゃうんです(志士3はムシしてね)。

当然、パパ光に幕府を倒す気なんて1ミクロンもないのに……

尊攘派「今が立ち上がるときだ!! 薩摩と一緒に幕府ぶっ倒すぞ!!!!」

もう、とってもその気なんだもん。

久留米の真木和泉(まきいずみ)
庄内の清河八郎(きよかわはちろう)
土佐の吉村虎太郎(よしむらとらたろう)
長州の久坂玄瑞

など、有名な志士たち(この人たちまた出てくるよ)が一斉に京都・大坂を目指し、さらに

薩摩志士「パパ光様と幕府を倒す!!!」

"薩摩藩の志士"までもが京都へ向かう始末…。

長いこと引っ張ってごめんなさい、尊攘派を元気にした"あるウワサ"の正体とは、

『カン違いされた薩摩上京物語』

のことだったんです。

この大規模なすれ違いコメディ(じゃないけど)の観客になってしまった隆盛さん。

西郷「やっぱり"ヤバいこと"起こったじゃねーかよ!! カン違いって教えてやらねーと、どんな騒動が起こるかわかんねーぞ!!!」

尊攘派の暴走を止めるため、京都・大坂へ向かったのでした。

……あれ?……下関で待っとけって……?

パパ光「命令だったよな(キレ笑い)」

やぱそうでした。

ただでさえ嫌いなヤツが、今度は命令無視……MajiでKireそな5秒前。

そこへ、西郷さんともガッツリ交流ある、海江田さんて人が、

海江田「なんか尊攘派の志士を『いいぞ! もっとやれやれ!』ってあおるために、京都・大坂行ったらしいっす」

なぜかおもくそ間違った情報を提供し、

パパ光「な……(キレすぎて後ろに倒れかけたけど、ほぼイナバウアーで踏ん張り、体を起こすその反動で)薩摩帰らせろーーーーー!!!!!」

MajiでKireたよ5秒間。でそのあと、

パパ光「島流しだーーーーー!!!!!」

をくらっちゃいます(最初『徳之島』、次に『沖永良部島(おきのえらぶじま)』に島チェンジされてるよ)。

あの西郷隆盛、意外にも表舞台からドロップアウト経験あり、それも2度……でした。

志士1「きたきたきたーー!! 薩摩近づいてきたー!! パパ光さーーん、こっち向いてーー! あ、今目あった!」
志士2「気のせいだって! パパ光さん、私たちも思いは同じー!…あ、今目あった!」
志士3「あんたたちが見てるからそう感じるだ…あ、今目あった!」
パパ光「……………(京都、到着)」
志士たち「ゴーーール!!! 薩摩が幕府を倒しにきた!! ラビューーーー!!!!」
パパ光「うるせーよ!!!!!! 幕府倒す気なんてねーんだよ!!!」

尊攘派のラブコールは、気のない女子から熱烈に応援される球技大会に似てます。
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パパ光の気持ちはそう、「お前のために走ってねーよ!!」です(当然こんなやり取りないよ)。

そんなつもりじゃねーのに……。

ピキッ! ……ピキピキッ……!!

募るイライラで、パパ光からイラ光に脱皮しようとしていたそのとき、

朝廷「脱皮してるとこ申し訳ない。最近、志士が過激になりすぎて困ってる。どうにかしてもらえないか!!」
パパ光「(ピッ…)するーーーーー!!!」

朝廷から「尊攘派をおさえつけろ」という、渡りに船ってる命令が下るんです。

気にくわないヤツらを、堂々と蹴散らせることにパワーみなぎるパパ光。

それとは逆に、

志士1「なんか……薩摩の動き変じゃね?」

様子のおかしさに気付き始めた、球技大会のブス。

志士2「もしかして幕府倒すとかじゃ……」

とうとう気づきます。

志士たち「ないのかよオイチゲーのかよーーー!!!!!!!」

勝手に盛り上がり、全力で意気消沈。

「17歳、夏。青春真っ只中!」みたいな感じの尊攘志士でした。

だけど、

志士1「こうなったら、京都所司代(っていう幕府の部署)のヤツ殺して……」
志士2「関白(っていう朝廷の役職)のくせに幕府寄りのアイツも殺して……」
志士3「2人の首をパパ光さんに見せてその気になってもらい……一緒に幕府ぶっ倒す!!」

考える内容が思春期じゃない。

志士たちは、このヤベー計画を、京都伏見の『寺田屋』という宿で密談します。

しかし、そのウワサは久光(パパ光)の耳に届き……

久光「ぜっ……たい実行させねーからな!! あと、計画に加わってる薩摩藩のヤツらは絶対抜けさせる!!」
家臣「久光様。寺田屋に使者を何度か送りましたが、言うことを聞きません……」
久光「……仕方ない。奈良原、大山、道島(みちじま)!!」
剣士たち「は!!」
久光「あいつらを説得してこい。もし応じなければ……臨機の処置を取れ」

腕の立つ剣士を8人集め、寺田屋に向かわせます(あとで1人加わって合計9人)。

「臨機の処置を取れ」、すなわち

「斬っても構わない」——。

ロングショットで見ると"喜劇"だったスレ違いも、衝突が起これば、

"悲劇"です。

寺田屋に到着した9人は、同じ薩摩の志士、有馬、田中、橋口らと話し合います。

久光の命令を伝え、今すぐ京都にある薩摩藩邸(藩のお屋敷)に戻るよう、同士を説き伏せる剣士たち。

しかし、寺田屋に集った志士たちは首を縦に振りません。

道島「君命(主君の命令)だぞ……」
田中「だとしてもだ。もう話し合うべきことはない」

カチッ……。

志士たちの意志を確認すると同時でした。

高ぶっていた感情の起爆スイッチが押され、

道島「上意!!!!!」

「主君の命令だ」と道島は咆哮し、目の前の田中を斬り倒したのです。

斬られた田中の眼球は飛び出し、そのまま昏倒。

この抜刀を合図に、薩摩藩同士の凄絶な斬り合いが始まったのです。

ある時までは、同じ志を抱いていた仲間たち。

ここで行われたのは、語り合った人を斬りつけ、友だった者の命を奪う、

同士討ちという惨劇。

乱戦の中、有馬は道島の身体を壁に押しつけ、同志の橋口に向かって、叫びます。

有馬「おい(オレ)ごと刺せ!!」
橋口「…………あ……や……」
有馬「おいごと刺せ!!!!!!!」
橋口「………あああぁぁーーーー!!!!」

橋口の刀は、壁に折り重なった有馬と道島を貫き、まもなく2人は壮絶な最期を遂げます。

騒ぎを聞きつけ、新たに2階から降りてくる薩摩志士。

惨状を目の当たりにした剣士たちは、必死に彼らを説得します。

これ以上の同士討ちを避けるため、必死に。

その想いは伝わり、志士たちはようやく薩摩藩邸に行くことを承諾したのでした。

痛ましく悲壮なこの出来事、宿の名前から

寺田屋事件寺田屋騒動とも)

と呼ばれています(薩摩以外の志士たちは、自分の藩に帰されたり、逃げたり、処刑されたり、いろいろ)。

朝廷「よくやった! と同時に、事件がエグくて薩摩怖い! だから言うこと聞く! 幕府に改革しろって言う!」
パパ光「よしゃーーーーーー!!!」
朝廷「幕府に"天皇の命令を伝える使者"を出す! その名も、『勅使(ちょくし)』!」
パパ光「ドゥクシ!(小突く)」
朝廷「あ痛っ!」

最強の使者を手に入れた薩摩藩

パパ光は、"勅使"と"1000人の薩摩兵"というパーティーで江戸に乗り込み、念願のセリフを吐き出すんです。

パパ光&勅使「幕府!! 改革しろ!!!」

やっと言えた。

それを受けた幕府、

老中1「しねーよ!!幕府が朝廷の指図で政治を変えたことなんてねーんだよ!」
老中2「ましてやそのキッカケが外様のパパだと!? ありえねーんだよ!!」

おもいっきり拒絶反応を示します。

ただ、こちとら最強の使者と、1000人の兵隊。

勅使「あ? "天皇の使者"にケンカ売ってんのか?」
老中1「あ、いや、そういうことじゃ……」
パパ光「ケンカなら買うよなぁ?」
薩摩兵1000人「おおおぉぉぉーーーーー!!!!!」
老中2「……で、どこから改革していきます?」

幕府、(マジ仕方なしに)改革されます。

この改革の目玉は何と言っても"人事"。

井伊直弼によってハジかれていた、改革大好き『一橋派』を復活させ、

お久しぶりの一橋慶喜に、
将軍後見職(ゼッテー将軍を後見するじゃん)、

ご無沙汰してますの松平春嶽に、
政事総裁職大老とほぼ一緒くらいエラい)

という、最高ポジションを与えるんです。

他にも、

『参勤交代』(「1年おきに江戸にこいよ!」のあれです)を、
2年に1回→3年に1回
に変更したり、

軍隊に西洋のシステムを取り入れた
幕府陸軍
っての創ったり、

蕃書調所を
『洋書調所』
って名前に変えたり、

榎本武揚(えのもとたけあき。この人幕末のラストに大暴れ)

などをオランダへ留学させたりと、幕府を改造しまくり。

さらに、京都で増殖した、過激でアブねー尊攘派の志士を取り締まるため、

京都守護職

っていう、新しいポジションも作っちゃう。

幕府を動かし始めた慶喜&春嶽は、

慶喜「『京都守護職』は強くなくちゃ!」
春嶽「強いと言えば会津っしょ!!」

ってことで、

会津藩藩主・松平容保(まつだいらかたもり)

さんに『京都守護職』をお願いすることに。

しかし、これに会津の家臣は猛反対。

会津の家臣「殿ダメ! うちはすでにいろんな地方の警備やらされてるからお金ない! それに尊攘派を取り締まる役目なんて、あいつらの恨み一気に買うよ!」
松平容保「そだな……断るわ。(春嶽さんとこ行って)というわけで、今回は辞退したいと思い…」
春嶽「あれー、なんて言いましたっけ? ほら、会津さんの初代が作った家訓」
容保「……会津家訓十五箇条……」
春嶽「それそれ。あれの第1条って確か……」
容保「……徳川将軍に一生懸命尽くせ。もし裏切るような者がいたら……」
春嶽「者がいたら? 裏切り者がいたら!?」
容保「……私の子孫ではない……」
春嶽「なるほどね〜! ……どうします?」
容保「性格悪ぃーなー!!」

鉄のオキテを持ち出された容保さんは、『京都守護職』をシブシブおっけーすることになったのでした。

パパ光キッカケで行われたこの改革、

文久の改革

っていうんで、是非とも覚えても覚えなくてもどっちでもいいです。

パパ光「よし!! 京都戻る!(るんっ)」

改革が成功し、気分上々ヘイDJなパパ光は、
"大名行列(庶民は道をあけて「ははー!」のやつ)"で、京都に戻ります。

パパ光「空はあーおく、澄み渡ーり♫」
みんな「海をめーざしてあるーくー♪」
パパ光「海行かない行かない! 京都!!」
みんな「そっか…ワッハッハッハッハッ!!」

最高だなー(絶対歌ってねぇー)なんて言ってると、向こうの方から

"トラブル"が馬に乗って歩いてくるんです。

それは、大名行列のルールなんて全く知らないイギリス人4人組(男3女1)……。
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薩摩側「なんだあいつら……(『馬降りてよけろ』のジェスチャー)」
イギリス人「ん? はしっこ通れってか?」
薩摩側「違う、まず馬を降り……わ! 行列の中まで来やがった! だから馬降りろ!!」
イギリス人「なんか騒いでる。あ、引き返せってことか!」

馬をUターンさせるイギリス人。

薩摩側「大きく動くな! ちょ、邪魔、だか、降り…ちょ、邪…ちょ…」

斬ります。

1人のイギリス人を、ズバッ! と斬って、そのあとまた数人がズバズバズバッ! と斬る。

最後に薩摩藩士の1人(おそらく海江田さん)が、「もう助からないだろう」との一言を添えて、そのイギリス人にとどめを刺したんです(あとの男性2人も斬られて重症。女性は帽子と髪の毛をちょこっと斬られただけで無傷)。

これ、生麦村(神奈川県ね)ってとこで起こった

生麦事件

っていう大ハプニング。

この事件でイギリスはバチギレます。

イギリス「あの辺は条約で、外国人が通っていい範囲だろ! なのになんで斬られるんだ!!」
薩摩「条約? そんな幕府が勝手に結んだもん知らねーなぁ。無礼なことしたら"斬る"っていうのがルール。外国人だろうが日本人だろうが関係ない」
イギリス「……そういや、まず幕府から『大名行列がある』なんてお知らせきてねーな……おい幕府、なんでだ?」
幕府「え!?いや、パパ光は大名じゃなくて、大名のパパだからお知らせしなくていいかなー……なんて」
イギリス「ダメだろ。実際大名行列やってるし、問題起こってるじゃねーか。10万ポンドよこせ」
幕府「ええぇぇーーーー!!? ちょ、え、こっちっすか!!? 薩摩のヤロー…幕府困らせるためにやったんじゃねーのか!!?」

幕府に賠償金のとばっちり(1両が現在のいくらかってのが非常にムズいんですが、10万ポンド=40万ドル=30万両=90~135億円くらい? なのかな?)。

ただ、この事件で麦とホップが香ったのは(影響を受けたのは)幕府だけじゃありません。

薩摩も、全く望んでないリアクションを収穫するんです。

尊攘派「堂々と外国人を斬るなんてさすが薩摩!! 攘夷の見本だ!!」
尊攘派「オレたちも薩摩を見習うぞ!!!」

そんなつもりじゃねーのにパート2。

イギリス人を斬ったことにより、みんなの攘夷熱は大盛り上がり。

パパ光が京都に着く頃には、尊攘派が完全に勢いを取り戻すという事態に……。

自分で鎮めた尊攘派を、自分の手でまた盛り上げてしまった……私は一体……一体……

何がしたいんだ?

パパ光「ホントそんなんじゃないのに! 違うのに! 私…私……もう知らない!!」

かわいそうに、イジけちゃった。

もうどうしよーもねーよと、パパ光は薩摩へ帰っちゃうんです。

こうなると、

尊攘派もう止まりません。

ますます危険に、どんどん過激になる彼らが行ったのは

テロリズム

残忍な殺戮に京都の町は震撼しますが、それに対抗する

"幕末で最も有名なグループ"

が誕生します。

すっごく意外な始まり方で。