歴史の流れを噛み砕いてみた

エンタメ要素をめいっぱい取り入れて、戦国や幕末の流れを、わかりやすく、ざっくりとお届けします。「超現代語訳戦国時代」という書籍も出版してますので、よければご覧ください。

【血にけぶる町。集う剣士。青い戦争がありました】

幕末エピソード9です。

おさらいです。

薩摩のパパ光が兵を率いて上京計画。
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お手伝いのため西郷さん復活。
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ソッコー島に流される西郷さん。
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尊攘派「薩摩が幕府倒す!」とカン違い。
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スレ違いから『寺田屋事件』ボッ発。
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パパ光『文久の改革』で公武合体いい感じ。
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でも『生麦事件』起こして、尊攘派また盛り上がる。


パパ光帰ったあと、京都では尊攘派が大フィーバー。

その中で最もcoolなのが、久坂玄瑞桂小五郎を中心とした、ザ・尊攘派

長州藩です。

飛ぶ鳥を落とす勢いとはまさにこのことで、とにかくイッケイケ。

尊王攘夷の風を朝廷にまでビュンビュン届けちゃうんです。

長州「幕府はいずれ攘夷するって言ってたけど、そんなんぬるくねーすか? あっちの顔面に3ミリくらいまで顔近づけて、『今すぐ攘夷やれ』って迫りましょうよ」
公家「だな! こうなったら顔面2ミリまでいく!! よし、お出かけだ!」

その風をモロに浴びた、長州仲良し公家の

三条実美(さんじょうさねとみ。この後ちょこちょこ出てくるはず)

さんと姉小路(あねがこうじ)さんは、幕府に乗り込み、

三条実美「攘夷やれ!! 気持ちは顔面1ミリだよ!」
徳川家茂「顔面1ミリがなんのことかわからないですが……。来…年……来年そちらへ伺ってお返事します」

家茂ちゃんの京都旅行を決定させます。

長州の暴風は、将軍を京都へ運ぶほどに吹き荒れていたんです。

でもこの時の京都、将軍が行くには……

危なすぎ。

 Q.なんで?
 A.フツーにテロがあるから。

尊王攘夷を掲げ、「天誅(天罰)!」ってことで人を斬るマジヤバなヤツら。

尊王攘夷かどうかも疑わしい、「とりあえず斬ろー」っていう、イッちゃってるヤツら。

とにかく斬っちゃうヤツらの巣窟……それが、京都だったんです。

我が京都を誰がこんな風に……(僕出身じゃないすけど)。

では、京都がテロだらけになるのに関わった人物を、1人ご紹介しておきましょう。

土佐藩高知県)の志士、

武市半平太(たけちはんぺいた)

という人。

"土佐勤王党(とさきんのうとう)"

っていう、バリバリ尊王攘夷なグループを結成した、土佐の尊攘派のリーダーです。

「みんな尊王攘夷頑張ってるから、オレも負けないぞ!」と、つい最近上京してきたパワフルな土佐の男。

公武合体派』だった土佐藩を、自分の力で『尊王攘夷派』に変えての上京です。がんばり屋さんです。

公武合体&開国派の、吉田東洋(よしだとうよう)さんて人と対立し、最後は東洋さんに勝ったんです。青春です。

で、その吉田東洋さんに勝った方法が、暗殺です。

急に怖い。

やり方がエグい。暗の殺は怖い。

そして、京都に来た武市さん。

ところ変わればやり方変わ……らず暗殺。

ずっと怖い。暗&殺は怖い。

しかし、武市さんは常に指示を出す人。暗殺を実行していたのは、

岡田以蔵(おかだいぞう。"人斬り以蔵"という異名がついてたよ。土佐の人だよ)。

田中新兵衛(たなかしんべえ。薩摩の人だよ)。

という2人。

ちなみに、

中村半次郎(なかむらはんじろう。この人も"人斬り半次郎"なんて呼ばれてたよ)

河上彦斎(かわかみげんさい。漫画「るろうに剣心」の主人公、"緋村剣心"のモデルとなった人だよ)

という、"人斬り"がさらに2名加わって、

幕末の四大人斬り

なんて呼ばれていました。

彼らが暗殺のターゲットにしたのは、

安政の大獄で、尊攘派の逮捕に関わったヤツ。
公武合体で、和宮さんが家茂ちゃんに嫁ぐのに関わったヤツ。
尊攘派を裏切り、幕府寄りになったとされるヤツ

って人たちなんですが、ただ斬るだけじゃないからエグみは増します。

暗殺された者の体の一部を、次のターゲットへの"警告"として利用するんです。

斬った首を門の前に置いたり、腕や耳を屋敷に投げ込んだり——。

「これ以上邪魔をすれば、お前もこうなる」というメッセージの代わりに……。

マーーーーーーージで怖い!

武市さんや人斬りの活躍(?)により、京都は"歴史とテロ"を味わう町(?)になっていたのでした。

これだけヤバい京都に、「来年伺います」と宣言しちゃった家茂ちゃん。

魑魅魍魎(ちみもうりょう)が跋扈(ばっこ)する世界に、幼児が飛び込むようなもの。

なかなかのダイヤを首からぶら下げて、スラム街を堂々と歩くようなもの。

周りに一切娯楽がない、ちょー田舎の男子校に、下着が透けるブラウスばかり着てくる24歳くらいの女性教師が赴任してくるようなもの(とにかくアブナイ)。

幕府の人「ピーーーーーンチ!!! 京都に将軍様が行くなんて……アマリニキケンスギル!!」

何かあってからでは遅いと、幕府関係者は冷や汗がリッターで出る思い。

京都守護職』を任された会津松平容保さんも、会津兵を1000人連れて京都にいましたが、

松平容保「それでもまだ人手が欲しい!!」

猫の手も借りたいモード突入! のそんなとき、

清河八郎

という人から、こんな発案が。

清河八郎将軍様を護るため、京都の安全を回復するため、ボディガードを募集しましょう! 腕の立つヤツなら身分なんて関係ないっすよ! それに、今までに犯罪を犯した浪士(フリーター武士ね)も、これに参加するなら罪をゆるしてやりましょう! そうすれば応募も増えると思います! 将軍と京都護りましょうよ!!」
松平春嶽「確かに、アブねー浪士のヤツら持て余してたし、そいつらがボディガードになるなら一挙両得……。よし、採用! 身分関係ない! 罪もゆるす! とにかく募集だーーー!!」

幕府関係者はそのアイデアに食いつき、強ぇーヤツを募りに募ります。

その甲斐あって集まった人数、234人。

ここに、将軍警護と京都の平和を取り戻すためのグループ

『浪士組(ろうしぐみ)』

が結成されたのでした。

け・ど・も……。

『浪士組』の発案者、清河八郎

この名前にピンときた方おられますか? 

何か引っかかった方、違和感を感じた方……素晴らしいです(エクセレント)。

前回「薩摩が幕府を倒すらしい!」とカン違いした志士がたくさんいたとお伝えしましたが、そのウワサを流し、薩摩に大きく期待した志士の1人が、この清河八郎です(名前だけ登場してるよ)。

ん? 清河さんは幕府が倒れることを願う、根っからの尊攘派ってことでしょ……?

そんな人が、なんで将軍を護るグループを作るの? なぜ幕府の助けになることを??

ボディガードたちを連れた清河さんが、京都の『新徳寺(しんとくじ)』というお寺に着いたとき、その答えが明らかに。

清河八郎の本性、現れます。

清河八郎「フフフフフ……ハッハッハッハッハ……ハーーッハッハッハッハッハッハッハッハ!!!!私は以前……」
浪士組「怖い怖い怖い怖い!! いっぱい笑ったあとすぐしゃべりだした!」
清河「幕府の手先に罵られ、カッとなりそいつを斬ってしまった。そして、そのことにより幕府から追われる立場となった……」
浪士組「……なんか身の上話始めたぞ……どうリアクションとってあげればいいんだ……?」
清河「しかし……今回の企画が通り、仲間たちの罪がゆるされ、私自身の罪もゆるされた……フッフッフッ………」
浪士組「じゃ…自分の罪を帳消しにするために、このボディガード募集を考えた……てこと? なんてヤツだ……。ただ、頭はいい……」
清河「ここからが本題だ……。皆! 将軍警護の名の下、よく集まってくれた!! しかーし……本当の目的は違う!!!!!」
浪士組「!?」
清河「みなさんには志士となってもらいます」
浪士組「………へ?」
清河「君たちには、尊王攘夷の最前線で働いてもらう!!」
浪士組「………えーーーーーーー!!!!?」
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清川「幕府の呼びかけで集まってもらった君たちだが、その幕府に給料をもらっているわけじゃない。君たちは浪人だろ? だったら自由に動くべきだ! 朝廷が目指す攘夷を実行し、日本のために立ち上がろうじゃないか!!!」
浪士組「戸惑うけど一理あるーーー!!!」
清河「そして、『生麦事件』の報復でイギリスが攻撃してくるかもだから、攘夷のため関東に戻るぞ!!!」
浪士組「うぇーーーーーーーー!!!!?」

「えー!」と「うぇー!?」でした。

すべては清河八郎の策略。

幕府の広告力と金で人を集め、それをそっくりそのまま尊王攘夷派にいただいちゃう。

敵の力を利用して、自分たちの仲間を増やすという、ギョーテンなことをやりやがったのでした。

ところが……。

芹沢「は?ヤなんだけど」
近藤「オレら京都残って、将軍様護るわ」

浪士組の何人かが清河さんに反発。

清河「べ、別に勝手にすりゃいいじゃん! 全然いいよ! 思いが伝わらなかったとかで怒ってないし! 勝手に将軍護りゃいいじゃん! 別に勝手にすりゃいいじゃん!!」

かなりのプンスカ八郎にはなりましたが、「将軍と京都を護る」という目的を曲げなかった24人の武士が、京都に残ることを決断します。

その後、

松平容保「うちが面倒みるね!」

会津藩預かりとなった24人は

壬生浪士組(みぶろうしぐみ)』

ってのを結成。

メンバーは、

芹沢鴨(せりざわかも)
新見錦(にいみにしき)
近藤勇(こんどういさみ)
土方歳三(ひじかたとしぞう)
沖田総司(おきたそうじ)
山南敬助(やまなみけいすけ)…etc.

知ってた人も、途中でピンときた方も多いと思いますが……そう、この集団がのちの

新選組

です。

幕末史にその名を残す剣客集団『新選組』。

多くの人を魅了するその要因は、誕生の瞬間にも垣間見えた、"武士として"という点に集約されているのかもしれません(知的な言い回しができました)。

さて、清河と浪士で3モンチャクくらいしてる最中、ついに将軍家茂ちゃん、

京都トウチャーク。

徳川将軍が上洛(京都入ること)するのは、3代将軍の家光さん以来。

実に229年ぶりの一大イベントです(財政厳しいのに、とんでもない大金はたいての大行列だったんだって)。

ただ、旅行気分なんて一切ナシ。だって……

朝廷「京都いらっしゃい、攘夷いつ!?  条約はいつ解消!?ねぇいつ!!?」

これ言われるために来てんだもん。

攘夷を誓わないといけない雰囲気がバリバリすぎる……。

義理の兄の孝明天皇(奥さん(和宮さん)のお兄さまだからね)の期待にも応えないといけないし…………ドックン……。

迫る公家……ドックン……にらむ志士……ドックン……何か……ドックン……何か言わないと……ドックン……ドックン……ドックン…

家茂&幕府の人たち「じゃ5月10日に……」

日にち決めちゃった。

攘夷する具体的な日にち決めちゃった。

「娘と付き合って長いみたいだけど、どうするつもりなんだ? 」「あ、いやもちろん結婚したいと…」「いつ?」「えっと……いずれ…」「いずれ!?」「あ、5月10日に」

これと一緒です(それでも日にち言うことあまりない)。

スケジュールに『攘夷♡』と書いてしまったことに、あらためて焦る幕府。

幕府の怯えてる人「どうしよう……攘夷をして外国と戦争になんかなったら……あー考えただけでトリ肌さんだよ……」
幕府のビビってる人「……攘夷をしたっていう形だけ見せれば……大丈夫じゃ……?」
怯えてる人「なになに? なんかいいこと言いそう」
ビビってる人「外国には文書で『条約を解消する!』って伝えとく。で、直接会ったときに『あれ違うんですよ~ウソウソ!』って言えば、なんとかなるんじゃないですか?」
怯えてる人「なるほど……うん、いける。それでいこう!! 5月10日キッチリに何かするヤツなんていないし、攘夷だからってリアルに外国人を攻撃するヤツなんていないしな!!wwwww」

いたんです。

5月10日きっかり、外国船に向かって、大砲をぶっ放したクレイジーな集団が。そう、

イケイケ長州藩です。

長州は、兵と船と大砲を用意して、馬関海峡(関門海峡だよ)を封鎖。

停泊していたアメリカ船を発見すると、

ドーーーーーーーーーーン!!!

大砲かまします。

23日にはフランス船にドーーーン! 
26日にはオランダ船にドーーーン!

久坂玄瑞「ぉっしゃーーーーー!!!!」
長州藩「ヒャッハーーーーーーー!!!!」
朝廷「よくやったーーーーーーーー!!!!」

イケイケのアゲアゲのバイブス感じまくり。

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お祭りだ。いやクラブだ。いやこれはカテゴリーがまるで違う何かだ。

というテンションが続いていたのでした。

しかし、この盛り上がりはすぐに終息……。

アメリカ「この前は、どぉーも……」
フランス「あの時は痛かった……」
米&仏「いたかったぞーーーーっ!!!!」

米&仏が仕返しにやってきて、ハゲんじゃねーかってほどフルボッコにされたからです。

長州しょんぼり。

あちらにも多少の被害は出たものの、長州側の被害はレベルが違います。

船は沈められるわ、砲台はぶっ壊されるわ、おまけに陸に上がって民家は焼かれるわ……。

長州藩「船も装備も身長も違いすぎる……」

外国の力をまざまざと見せつけられた結果に、長州はヘコみまくります。

長州藩「このままじゃヤバい……今後外国に立ち向かうことなんてできない………。あいつを呼べ……あいつを呼び戻すんだ!!!!!」

長州のピンチに呼び戻された"あいつ"の名は

高杉晋作

久坂玄瑞と並び、「松下村塾の双璧」と称された孤高の才能。

長州の人「呼び戻すんだ!上海に渡り、イギリス・フランスに敗れた中国の実情を目の当たりにして、欧米の力を肌で感じた、あの晋作を!」
長州の人「日本に帰ってきてすぐ、船欲しすぎて、許可なく藩の金で買おうとしたら、長州藩にムチャクチャ怒られた、あの晋作を!」
長州の人「『薩摩藩は、イギリス人を生麦村で斬って攘夷をやったのに、オレたちも負けてらんねーだろ!』って言って、久坂や伊藤博文たちと一緒に、品川にあるイギリスの公使館を焼き討ちした(英国公使館焼き討ち事件)、あの晋作を!」
長州の人「攘夷もやらねーし、行動を起こさねー長州藩に愛想をつかし、『10年お暇いただきます』って言って髪の毛を剃って『東行(とうぎょう)』って名前の坊主になり、表舞台から消えた、あの晋作を!」

――そんな晋作(どんな晋作)を、長州藩は呼び戻したのでした(ネジぶっ飛んでます。そしてそのネジを弄んでそうな波瀾万丈っぷり)。

外国にケチョンケチョンにやられてしまったこのピンチに、何かいい策はないかと尋ねられ、晋作は答えます。

高杉晋作「ある! 志があるヤツを…武士であろうが農民であろうが、身分関係なく募り、一つの"隊"を結成するんです。
正規の兵に対して、その名も……奇兵隊!!」
長州の人「『奇兵隊』!?」
晋作「平和ボケでグータラになり、古い戦いしか知らない武士よりも、モチベーションが高くて腕に覚えのあるヤツらが、得意な武器を持って自由に戦った方が、長州のパワーアップに繋がる! その名も……奇兵隊!!」
長州の人「同じテンションで同じこと言ってくる!」

身分をメチャ重んじるのこの時代に、能力主義の部隊を作り上げるという画期的なことを、晋作はやってのけたのでした。


外国からのハンパない攻撃をくらった長州。

実はその直後生麦、外国からの生麦、猛攻を受けた藩が他にもいたんです生麦。

そう、薩摩藩です(ヒントを散りばめたように、原因は『生麦事件』だよ)。

生麦事件で幕府に賠償金を請求したイギリスは

イギリス「やっぱ薩摩にも個別請求すんぞ!!」

となったんですね(パパ光が薩摩帰ったのは、イギリスが来ることに備えたってのもあるよ)。

イギリス「賠償金払ってもらおうか」
薩摩藩「条約に『外国人も大名行列はジャマすんな』って入れてなかった幕府に落ち度があるし、イギリス人を斬った犯人は逃走して、今探してる最中だ(大ウソ)。つまり、生麦事件に関して"薩摩藩"の責任はねーな」
イギリス「大アリだよ。本気で払わねーってんなら、力ずくでいくことになるぞ」

イギリス、薩摩を脅しにかかります。

イギリス「薩摩の船を捕まえろ! 乗組員を人質に取って、賠償金払わせるぞ!!!」
五代友厚「というわけで捕まりました!! 捕虜というやつになってしまいました!」

何艘かの船が捕まり、五代友厚(ごだいともあつ)さんて人たちが人質に取られた薩摩藩ディーン・フジオカファンの方、ディーンさんが演じられた、あの"五代"さんです)。

薩摩藩「ふ、船が捕まり…仲間が捕虜に……。こうなったらもうしょうがない……」

ドーーーーーーーーーーン!!!

大砲撃ちます。

人質取られたけど差し出すしたのは鉛玉。長州に負けず劣らず、薩摩もイケイケ。

イギリス「なめくさってるなコルァァァ!! ブっ潰してやらぁぁぁーーーーー!!!!」
薩摩藩「くるならこいやーーーーー!!!!」

のちに

薩英戦争(さつえいせんそう)

と呼ばれた戦闘が、鼓膜をつきさす怒号と、大砲入り乱れる轟音と共に開始されたのです。

はしょります。終了。

では結果報告。

暴風雨や船の故障で、イギリスがちょいとピンチを迎え、

薩摩側の被害→死者5人、負傷者10数人。
イギリス側の被害→死者13人、負傷者50人。

という結果に。

じゃ、薩摩の勝ちかというと、

船やら、大砲やら、鹿児島城の一部やら、寺社やら、集成館やら、民家(約350戸)やら、藩士屋敷(約160戸)やらが焼失。

市街地の10分の1が、火災で消えて失くなったことになります。

うーーーーん……とてもじゃないけど、「勝ったー!」とは言えない……。

とにかく「もう十分戦ったから仲直りしよ!」ということになり、薩摩はイギリスに賠償金(2万5千ポンド)を払うことを約束します。

でもそのお金は……

薩摩「おい幕府、金貸してくれよ」
幕府「も〜何でよ〜何でまたあんたはもー!!あんたのせいでこっちはどんだけ大金払ったと思ってんのよ!!」
薩摩「今度は借りるだけだよ!! おー、まだけっこう貯め込んでんじゃねーか……貰ってくかんな!」
幕府「ちょっと待ちなさ……!!……なんで私ばっかこんな目に……(うるうる)」

幕府から借りました。

で、返すつもりありませんでした。で、返してないです。

しかし、賠償金ふんだくりより驚きなのは、薩摩とイギリスの間に生まれた関係性。

薩摩「イギリスの軍事力、科学力ってのは、やっぱスゲーんだな。あ、今度そっちから、船……買ってもいーか?」
イギリス「ああ、いいとも。そっちこそなかなかやるな。薩摩がこんなに骨のあるヤツだとは思わなかったよ」
薩摩「へへへ」
イギリス「ふふふ」

薩摩とイギリス、仲良くなっちゃった。

河川敷で殴り合ったら、土手に寝転がって友情芽生える理論です。

薩英戦争によって、攘夷をすることがいかに無謀なことかを悟った薩摩藩

イギリスという強力な後ろ盾を手に入れた彼らは、"ある答え"に向かって、歩み始めます。

一方長州は……ガマン出来ないので言っちゃいますが、ここから長州に待っているのは

"転落"です。